木材になりたい

ミュージカルの感想と妄想と持論をひたすら垂れ流す

新感覚の体験型ショー Sleep No Moreに行ってきた

 

 

 

NYに行くと話したら、友人が激推ししてくれた。

 

「絶対Sleep No More(スリープノーモア)に行ってほしい!本気でクレイジーだから!!!」

 

これね。

まぁ、ミュージカルじゃないから時間が余ったら行くかー…くらいの気持ちで同行者に話したら、演劇に対する興味が薄いのにめずらしく食いつきが良かったためチケットを購入することとなった。

 

感想についてはこれから語りますが、まずこれだけ言わせてほしい。

 

 

NYに行くなら絶対Sleep No Moreに行ってほしい。

 

 

間違いなくクレイジーで芸術的で意味不明でそして素晴らしいショーだった。

そして私がこれからどれだけこの演目について語っても現地で体験時の高揚感は1/100も伝わないだろう。

 

 

ネタバレなしで見た方がきっと楽しいと思うので、まずは話のネタバレなしの紹介を。 

 

【Sleep No Moreとは?】

NYのチェルシーにある廃墟ホテル『The McKittrick Hotel』で行われているほぼ無声の演劇です。いわゆるオフブロードウェイ作品ってやつですね。

 

1939年に完成し、ニューヨークで最も華やかでデカダンのホテルになるはずだったその場所は、第二次世界大戦の開戦から2日後、開業予定の6週間前に閉鎖され、開業することはなかったとかなんとか。

 

この謳い文句だけで気になってきませんか?そうでもない?

 

一応メインのストーリーとしてはシェイクスピアの『マクベス』と映画『レベッカ』がもとになっているようです。

ようです…というのは私はその作品のどちらも見てない(読んでない)から。

私がしたことといえば、列に並んでいる間にWikipediaマクベスを調べただけ。

それでも十分に楽しめましたが、二つの作品を予習していくとより楽しめるようです。

 

 

 

【この作品、他のショーとは何が違うの?】

この演目のめずらしいところは、6フロア+地下の100部屋以上の部屋(だったかな?)のあらゆるところで20人ほどの役者さんが各々演技をしていているのを、観客である私たちが歩いて(というか大体走って)探し見ていくという形式をとっているところ。

 

 本来の映画や舞台であれば、ストーリーと関係のないところで脇役が何をしているのかを見ることはできないですよね。

しかし、この舞台ではストーリーと関係ないところでも脇役は存在し生活していて、それを“その役を追いかける”という自らの選択で見ることができるわけです。

そしてストーリーとは関係のないわき役も存在しています。

なので自分が見たシーン・役者さんによっては全くストーリーを理解できないまま終わるということもありえるわけです。

というか、たとえ主人公を追いかけたとしても作り手が想定したストーリーを完全に理解することは不可能だと思います。

見たものを自分なりに解釈し、自分の中で自分だけのSleep No Moreという作品を作っていく。そしてそれこそがこの舞台の楽しさだと思います。

 

たとえば、ある部屋で男と女が言い争い、そこからバラバラに離れるとする。

男を追いかけるか、女を追いかけるか。

どちらを見たいか、それともその二人は置いておいて他の人を探すか。

何を見るかはあなた次第なのです。

 

一人の役者さんを追いかけるもよし、なんとなく歩いて遭遇した場面を見るもよし、メインストーリーを通るもよし、ストーリーと関係ないキャラを追いかけるもよし。

とにかく自由度の高い作品なんです。

 

そして表現の方法としては無声の劇で、ときには激しいコンテンポラリーダンス(って言うのかな?)が繰り広げられたりします。

本当に間近で激しいダンスが繰り広げられるので思わず息を呑んで見入ってしまうこと間違いなしです。

 

 

劇は1回1時間の同様のものが3回行われます(厳密には全く同じというわけではない)

が、たとえ一番最初に並んだとしても、最初からストーリーが見れるとは限りません。

(その理由については後述します。)

自分の買ったチケットがその日の3公演目のものでも1公演目から見てもOKなので、とにかく早めに行っていろんなシーンを見ることをお勧めします。

 

 

【実際に会場についてから話が始まるまでどういう流れなの?】

 

ホテルに着くとまず、クロークに荷物とコートを預け、受付でトランプを渡されます。

私は2人で参加したのですが、同行者とは違う数字のトランプを渡されました。

 

そして暗い道の中を歩くとバーにつきます。

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バーでは客に紛れて、何やら金持ちそうなセクシーなお姉さん(多分役者さん)や支配人のような人が話したりしています。

 

そして、支配人のような人が次々と数字を呼び、その数字のトランプを持っている人が別室のようなところに通されていきます。

 

というわけで、早々に同行者とお別れです。

 

一応中で合流することは可能ですが、できればもう同行者のことは忘れて一人で回ることをお勧めします。

なぜなら中で走り回るときに同行者とはぐれないことに気をかけると役者を見失うから。

 

私は7のトランプを持っていたので呼ばれたのはだいぶ後の方でした。

ぞくぞくと集まる7のカードの方たちとエレベーターの前に通され、支配人に仮面を配られます。

 

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そして、中では仮面を外してはいけないこと、しゃべってはいけないことを説明されます。

仮面をかぶった瞬間、役者さんからは通常時は決して見えない透明人間の出来上がり。

 

周りにいる人達が行動を共にする人か…と思いながらエレベーターに乗り込み、

何階かはわからないけれど止まったフロアで周り人が続々と降りていく…

と思ったら途中で止められ残りはさらに別の階に…というのを繰り返してさらにバラバラにされます。

そして、お化け屋敷みたいに暗い部屋の中放りだされます。

そこから歩いて役者さんや何か起きている場所を自分自身で歩いて探すわけです。

 

会場内は広いのでこれが意外と見つからない。誰もいない真っ暗な部屋を一人で歩くのはとても心細かったです。

しかし、館内にはいろんな部屋があって、そしてその一つ一つがとても丁寧に作りこまれていて見てて飽きないのです。

バーのような所、病院の処置室、本がたくさん置かれた部屋、墓場、森のような場所、ボールルーム、寝室。

ここがホテルの中であることを思わず忘れてしまいます。

 

そして私が最初に見たシーンは、なんとエンディングでした。

時間差で案内されたため、始まるシーンも観客によってバラバラなのです。

普通、開演の30分前から並んだのに着いた時にはエンディングなんてことありえます?

でも、その瞬間から、私のSleep No Moreは『どうして最後のシーンに至ったのか』を探る回想劇になったわけです。すごくない?

 

【Sleep No More楽しむために】

元ネタの二つの作品は時間があれば予習をしておいた方がより楽しめると思います。

 

入り口でパスポートの提示を求められるため、忘れないようにしてください。

 

そして、一番気を付けることは動きやすい格好で行くこと

 役者さん達、本当にびっくりするぐらい早く走るので、追いかけるのは至難の業です。

もたもたしているとたいてい途中で見失います。

 

ケータイを持っている人もたくさんいましたが、荷物も思い切ってクロークに全部預けた方がいいかなぁと個人的には思います。

真っ暗な中走るので、転んだり身体をぶつけたりは普通にします。

 

私は足をぶつけた時の青あざがまだ治りません。 

 

あとネタバレになるので詳しくは話しませんが、場合によっては汚れるので汚れていい格好で行くといいと思います。

 

そして、せっかく仮面をつけて透明人間になれるので、思い切って役者さんの近くで演技を見た方が楽しいと思います(あと追いかけやすい)

そして思い思いに役者さんを追いかけてください。

 

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 こんなかんじで。

 

最初は主人公のマクベスを探して、彼を追いかけるのが一番ストーリーが理解しやすくていいかなぁと個人的には思います。

といっても、初見で誰がマクベスかを判別するのは難しいし、その前にそもそも出会えない可能性もあるので完全に運次第ではありますが。

だいたい人が集まっているところで大きなイベントが行われていることが多いです。

 

そして2巡目、3巡目で好きなキャラを追いかけてみる。

マイナーキャラを追いかけると、ストーリーは負えないもののレアなシーンが見れたり、役者さんに絡まれたり、役者さんと二人きりで長い時間閉じ込められたり(笑)もするみたいなので、それはそれで楽しい。

 

そして終わったら、自分の見たもの、他の人が見たものをぜひ話してください。

みんな驚くほどにバラバラで、「そんなシーンあったのか!!見たかったー!!」となること間違いなしです(笑)

 

というわけで、

NYに行くならSleep No Moreに行ってほしい。

 

そして、どんなものを見たのかぜひ教えてほしい。

 

 

次はネタバレありで、私が見たシーンを書いていきます。また後日。